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六甲全山縦走大会・考察
2006年にわたしが初めて出場した、六甲全山縦走大会
知る人ぞ知る、神戸市須磨区の
須磨浦公園から宝塚まで56km、累積標高差約3000mを1日で歩きとおすというちょっとイカレタ(死語)感じのイベントである。

この縦走大会では、関東の外秩父七峰縦走のように(それよりも距離が長いにもかかわらず)、2007年現在、年越し完走がOKだったりはしない。神戸市からの「完走の証」をゲットするには、各チェックポイントを定められた時間までに通過、はんこを押してもらい、歩ききらなくてはならない。そこには距離、高低さ以外のさまざまな難関が待ち構えている。

一体どうすれば歩ききることができるのだろうか?わたしなりに考察したことをまとめていきたいと思います。あくまでわたしなりに、です。
▼T:まずは出場権確保▼
わたしも出たいワ!と言って出られるものではない。

神戸市主催のこの大会は、
毎年11月の第2日曜日と23日の祝日の2回行われているのだけれども、各日2000人と定員が定められています。申し込みは郵送、直接申し込みで受け付けてくれるのですが、定員に達し次第終了!なので、いつから募集するのか神戸市のココのHPでしっかりチェック。大体、9月1日から募集開始のようです。今年(2007年)は7月上旬に覗いたときにはもう既に書いてあったので応募要項についての記載が大分早かったようですが、昨年(2006年)の場合はお盆明けにようやく載ったという状態でした。

合計4000人も出れるから大丈夫でしょーとお思いかもしれませんが、世の中Mっ気な人が多いのか、早々に定員に達してしまう為注意が必要です。

ちなみにわたしの場合、絶対に出場したかったので8月25日頃に普通郵便に30円プラスして9月1日着の日付指定にして申し込みを郵送しました。日付指定にするなら確か3日前以上に出せば大丈夫だったと記憶しています。・・・そこまでしなくても大丈夫だと思いますけどね(笑)。

その後、健康状態やらなんやらを記入する書類が送られてきます(記入漏れがあると出場できません!と書いてあるのでしっかり書いてね)。それを再び決められた期日までに郵送し、そうこうすると、
10月下旬に参加証やら反射リボンが送られてきます。参加証(写真必要)がないと出れませんのでお忘れなく。
▼U:練習について▼
はっきり言って、富士山5合目からの2倍の標高差だとか、トータル56kmという数字から見ると、ええ(;・∀・)というコースではありますが、普段から山歩きを結構している体力のある歩くことに抵抗のない者がこの大会に出場すれば、このコースを知らなくとも、完走は比較的容易だとわたしは考えます。

理由としては、

@わたし(20代後半女子/一人で参加)でも余力を残して歩ききれたという事実
A確かに登りもたくさんあるけれども、登り一辺倒でないため気分転換が可能(数字ほどのものを身体にあまり感じない)
B何せ出場者が多いため各所で渋滞が発生しオーバーペースになりがちな箇所でもセーブして歩くことができる
C出場者が多いため、道を知らなくても迷うことがない
D応援してくれる方々がたくさんいるのでファイトがでる

です。だけれども、比較的近郊に住み、可能であれば、練習をすることをおすすめします。体力に不安がある人はなおさらです。地図の入手方法はこちら。400円ほどなので手に入れてください。

わたしの場合、須磨〜宝塚という全縦走を通しての練習はしませんでしたが、
@真夏に須磨浦公園〜摩耶山(縦走前半部)
A秋に須磨浦公園〜摩耶山(縦走前半部)
B秋に市が原〜摩耶山〜宝塚(縦走後半部)の3回の練習を試みました。

まず、前半部後半部どちらに関しても言えることですが、初めて歩くなら神戸市が販売している詳細なコースの地図・コンパスは必携です。山を歩くイメージかもしれませんが、実際は複雑な住宅地の中を縫って歩く場面も非常に多いです。一人で最初からスタスタ歩ける人は皆無でしょう。

住宅地の中を歩くといえども、急勾配のアスファルト道も多く、真夏では苦戦しました。本当、エーって感じ(笑)。自動販売機も思ったよりも少なかったし・・・しかし1回歩いたという事実は自分の中でかなり大きかったらしく2回目を歩いたときは地図なしでも歩くことができました。

後半部は下りメインかと思いきや、地味な登りも待ち構えていて注意が必要と感じる部分も。上のCには道を知らなくても迷うことがないと書きましたが、どんな山でも大抵の人って出かける前に地図を眺めて、ルートや距離、予想される天気に応じて戦略って立てると思うのです。それってすごく楽しいことですよね。ノリで出て完走してしまう人も多いと聞きますが、何も考えず人の後ろを歩いて完走、よりも
試行錯誤を重ね、戦略を練って六甲全山を攻略できると喜びもひとしおだと思います。

そして基礎的な体力は絶対に必要です。無理をして最後まで歩き、その後後遺症に苦しむ人も多いと言います。参加すれば完走したいというのは誰しも同じだと思いますが、
練習なくしてのいきなりの参加は無謀です。体が壊れてからは遅いです。コース以外の練習としてはアスファルト道を回数を重ねて歩きました。休日に4〜15kmくらいです。歩くくせをつけましょう。

よってわたしは、
歩ける時間が取れるならば最低でも前半・後半に分けてでも1回づつは歩いておく方がよい、と考えます。ちなみにわたしがコースの中で一番しんどかったのは大会も含め3回歩いたけれど3回とも鍋蓋山への登りの道でした。みんな菊水山の登りの方がと言いますが・・・わたしはその後の鍋蓋山がキツかったなぁ。経験することで全体のイメージもつかめると思うので。

なお、
低山、ロングコースにつき真夏に練習をされる際は水分補給等くれぐれもお気をつけくださいね。
▼V:靴について▼
登山靴か、軽登山靴か、スニーカーか?大会で多くの人が一番悩むのが靴ではないかと思います。

初めて六甲全山縦走の横尾山に行ったときにあまりのアスファルトの多さに、これはハイカットのトレッキングシューズではキツイと判断。で、考えた挙句、「長距離を無理なく歩く」と考えのもとにReebok(リーボック)のDMX という軽いウォーキングシューズを購入してみました。これで3度とも練習をしたわけですが、長時間歩いても重さが気になるわけでも、疲れるわけでもなく、非常に満足できる1足となりました。

靴は一番気になったので大会の日に辺りの人を見回して見たけれど、ハイカットの人は20人に1人くらいでした。コールマンやホーキンスのようなトレッキングシューズが多かったです。

圧倒的にローカット派。
ウォーキングシューズトレイルランシューズがほとんど。しかしメーカーで言えば、メレルのカメレオン (ローカット)の人を最も多く目撃したと思います。登りで歩きにくいということはなかったのだけれど、例えば菊水山の下りなど少し滑りやすいところや、大平山への道などで、下りが苦手なわたしには不安な部分もあったわけですが、そこは慎重に歩き、トータル的に見ればこの形態の靴でわたしはよかったと考えます。

何と言っても、中盤のアスファルト道での足への負担が少なかったのが大きいと思います。出場した日は降水確率50%という非常に微妙な天気予報で最後まで迷いました。2足持って行くか、最初からハイカットのトレッキングシューズで行くか・・・

結果的には天気が持つと信じて、ウォーキングシューズ一足で参加したわけですが。ただ、
最初から雨の日となると考え物。やはりゴアテックスのトレッキングシューズ(上記のメレル・カメレオンのローカット系)がよいのかな、とは思います。中には革のザンバランの人もいましたが・・・関心しました。
▼W:持ち物について▼
もう、びっくりするぐらい軽量の人ばかりでした。10リットルほどの小型のナップザックのような人も多く、これにペットボトルと食料を入れたら何が何が入るんだろう?というような(笑)。わたしは以下のようなものを持っていきました。

20リットルザックザックカバー
Wストック
モンベル(montbell) アルパインポール
モンベル(montbell) アルパインポール

2本も要らないだろうとずっと思っていたわけですが、これが使ってみると非常に快適。1人で歩くならなおさら、つきながらリズムを取って歩くことができました。ただ、大会では渋滞も多く、前後の人との間が僅かな場面も多いです。それも気にせず、先端にゴムもしないで振り回している人を多々見ましたが、くれぐれもお気をつけください。ステッキをしまいたい場面もあるかと思いますので(須磨アルプス辺り)、ザックにしまえるようなそこそこコンパクトになるものがよいかなとは思います。
モンベル(montbell) ポイントプロテクター
モンベル(montbell) ポイントプロテクター

石突き部分は六甲全山縦走大会では不必要です。既にオーバーユース気味の六甲ですが、山を傷つけないためにも、プロテクターは付けておきたいですね。

【食料:大会当日には要所でバナナやトン汁等を販売していたりもします、参考まで】
飲料1.5リットル(途中1リットル買い足し、ホットレモンを頂く)バームゼリー等(アミノ酸系)4袋ソーセージ4本チョコレート1箱クリームチーズクッキー2袋飴玉大量

【着替え】
5本指靴下靴下フリース速乾性ロングTシャツ速乾性半そでTシャツフリース帽子

ヘッドライト
PETZL(ペツル) ティカXP
PETZL(ペツル) ティカXP

よっぽど歩くのが速く15時頃にゴールする人を除き、ライトは必携。角度を調整でき、そしてなによりも明るい!こんなに小さなライトでここまでの威力を発揮するとは思っていなかったのでびっくりしました。後半も渋滞にしっかりひっかかったわたしでしたが、いくら大名行列とはいえ、木の根等障害も多いので自分のライトは必要です。今我が家では山はもちろん、耳掃除時にも大活躍です(笑)。

タオルトイレットペーパーカットバンエアーサロンパステーピング痛み止め塗り薬地図コンパス雨具上下携帯電話

写真も撮っていて、持ち物が一体何グラムなのかも全部書き出していたのに、資料がどこかに行ってしまいました(笑)。
とにかく1gでも軽量!を考えてパッキングをしていきました。着替えが多すぎるかな、とも思いますが、雨が降ったときのことを考えたため、多めになりました。

結果的に雨は降らなかったわけですが、着替えをすることでさっぱりと気分転換もでき、非常によかったと思います。中間の摩耶山辺りでマメ防止のために靴下と、一番下のシャツくらいは着替えてもよいのではないかなと思います。11月の中旬ともなると六甲は非常に冷え、稲妻坂・天狗道を登った後の汗でとても冷えますので。

わたしは汗かきなの何なのかよくわかりませんが、夏に山を歩くとときどき恐ろしいほどにかゆくなります。パンツと太ももが擦れて痛いというか・・・で、何かよいものはないのかと思っていたところこんなものを発見しました。
ディクトン スポーツ56g
ディクトン スポーツ56g

手荒れ、靴擦れ等肌荒れの防止に効果があるということで購入。ムース状で、スリスリしてみたところ、確かに塗ったときにはかゆみはなくなったので効果はあると言えると思います。本当にかゆみが出だすと、歩くことができないくらい狂ったようにかいてしまうので(笑)。汗をたくさんかくときの効果は3〜4時間かな、と。11月の大会のときにはさすがに真夏のような暑さはないので朝家で擦りこみ、携帯はしませんでした。自転車乗り、マラソンランナーも使っている方が多いようです。

たまに何故にこんなデカイザックを?!という人もいました。六甲全山縦走で何かの訓練?遠方から来て、前日に須磨浦公園でテント泊をしたのかもしれませんが・・・革靴同様関心しました。
▼W:注意すべきこと▼
●渋滞
何と言ってもコレです。普通に完走するものにとっては意外とこの渋滞が無理ないペースを保ってくれ、逆によかったりもするわけですがそこそこタイムを目指している人は、できるだけ早く列に並ぶことをおすすめします。

須磨浦公園は5時スタート。わたしは4時40分頃に並びましたが、既に国道2号線まで数十メートルというところまで列は延びていました。受付は5時半過ぎ。そこから400段階段で渋滞、須磨アルプスのプチ鎖場のために横尾山辺りから渋滞、菊水山の登りで渋滞・・・何せ渋滞の連続。さらには後半の大谷乗越手前からまさかの渋滞!!

まぁ、狭いところにみんなが並んでいるところを無理やり通りぬけて行ったり、激しくイライラする人はわざわざこの大会に参加しなくても個人で縦走をすればよいとは思いますが。

ちなみに5時ちょうどに出発できた人、6時に出発した人はともに須磨アルプス辺りの渋滞は皆無だったそうです。足に自信がある人だったらちょっと遅めに出発する、というのもアリかもしれませんね。
●トイレ
地図を見ればわかるとは思いますが、六甲全山縦走最高峰を過ぎるまでは結構いろんなところにトイレがあるので不自由はしないと思います。ありがたいことに、この大会の日には開放してくださるところもありますし。

女子トイレって混むだろうなぁと思っていたわけですが、混んでいたところといえば、最初の妙法寺小学校の移動式トイレに5人待ちくらいで後は全然。ただ、男子トイレは別。高取山でのトイレは大行列でした。考えてみれば男子の方が圧倒的に出場者が多いのだから当たり前か。

ショートカットをしないのであれば高倉台のトイレで行っておくのも手かな?でも高取山ってちょうど休みたいポイントなんだよね(笑)。鵯越のデイリーヤマザキにもトイレはありますが確か1つしかなかったので混んでいる可能性大。鈴蘭台の下水処理場のお手洗いも開放してくれているのですが数百メートル入らないといけないので、やや面倒だったりします。
●チェックポイントと棄権
2006年の場合ですが、

@須磨浦公園スタート地点(5:00〜7:00)、A菊水山(8:30〜12:20)、B摩耶山上掬星台(12:00〜15:50)、C東六甲縦走路分岐点(14:00〜18:30)、D宝塚ゴール地点(16:30〜22:40)

という5つのはんこを()の時間内に押してもらいゴールをしないと完走とは認められません。

最後の棄権ポイントは東六甲縦走路分岐点(リタイヤポイント、リタイヤする際の注意事項は事前に要確認!)
なのですが、ここからは下りメインの道。下りだから大丈夫だろう・・・と思うかもしれませんが下りは登りよりも負担がかかります。しかもここ以降は今までとは様相の違う山中の道です。まだまだ先があるのに一体どの足でどうするの?というような、足を引きづりながら歩いている中年の男性を人を何人か見かけました。棄権するに棄権しにくいところとなるので要注意です。無理をしすぎて足を痛めて山歩きがしづらくなるよりも、また来年挑戦という手もありますので・・・ムリをしたくなるのはわかりますが、でも厳禁です。
●ショートカット
六甲全山縦走と言いながら、実は多くの人は鉄拐山と六甲最高峰の頂上を踏まない巻き道を取るルートを選択していたりします。それとは別に、高倉台周辺の道、そして六甲最高峰の辺りの道では、実はこちらを通った方が早いという道が存在していたりします(大会ではどちらを通っても可)。高倉台はおそらくそれほど差はでないと思うのですが、六甲最高峰は大分差つきます。練習で発見してみるのもよいかもです(笑)。
▼最後に▼
朝早くに住宅街の中を歩きます。まだ眠っている方が多い時間帯なのでおしゃべりは×。ゴミ捨てはもちろん×。

多くのボランティアの人が縦走路を守ってくれています。摩耶山の頂上ではホットレモンの無料サービス、甘酒が飲めないわたしは遠慮したのですが、六甲の郵便局の方がお休みにもかかわらず甘酒を振舞ってくれていました。

一人ではくじけてしまいそうな56kmという長い縦走路ですが、この大会は多くのハイカーが同じゴールを目指して歩いており、たくさんの声援を励みに頑張ることができます。少し寒いくらいですが、夏から秋にかけて歩く練習をして大会に挑め、紅葉も美しいとてもよい時期です。一度でいいから六甲全山縦走を歩いてみたい・・・という人はこの大会は背中を後押ししてもらえる大きなチャンスだと思います。

真夏に一人でコースの半分を練習したときよりもみんながゾロゾロ歩いている全縦走大会時のほうが大分楽でした(本音)。だからもう、よっぽどのことがない限りわたしは出場することはないとは思いますが(笑)、数ヶ月前から1人で戦略を練り、無事目的を達成し、大人になってからもらえる「完走認定証」と楯はその努力を認めてもらえたようでとてもうれしかったです。

みなさんの健闘を祈ります!
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