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No.40 蘇武岳(そぶだけ)/兵庫県
2007年11月23日(金) はれ
同行者:なし。 ジムニー走行距離:211.7km 

●コース概要●

阿瀬渓谷・空きスペース(標高約150m?)・・・阿瀬渓谷・・・
金山廃村・・・金山峠(標高760m)・・・林道・・・
蘇武岳(標高1074.4m)・・・<来た道を戻る>・・・駐車場

約16km・全行動時間7時間30分【昼食・休憩・撮影時間含】



紅葉満喫ツアーと称して、ひさしぶりに関西百名山めぐりでもしようかと、世の中3連休の計画を立てていたのだけど、どうも土曜日天気が・・・

迷っていたけれど、せっかくの休みがもったいないし、阿瀬渓谷の紅葉を見るなら今週が最後だろうと思い、1時間半ほど仮眠をとり、3時過ぎにジムニーに乗り込んで神戸を出発した。

意外と車が停まっている 2泊3日の車中泊だけど、荷物が多いったらありゃしない。寒くて辛いのはイヤなので、ボード用のウエアをはじめ、しっかり着るものの準備はしてきた。

今回、近畿の道の駅めぐりも目的の一つ。まずは道の駅・やぶ、に行くけれど朝が早すぎてもちろん開いていない。途中から降り出した雨は止んだようだ。しかし気温2度。あー寒い。

地図を再度確認し、神鍋高原方面を目指す。一度あっぴんと行ったときに「阿瀬渓谷」の看板は見たから大丈夫だろう。
姫路バイパス→R321→県道で、道の駅やぶ
阿瀬渓谷付近に着くのだけど・・・

キャンプ場内に車って停めてもいいの?何だか「通行止」になっていてこの先進めないんですけど・・・登山口はどこ?!

あっちに行ったりこっちに行ったり。しばらくウロウロした挙句、仕方がないので「通行止」と書いてある手前の空きスペースにじゃまにならないよう置かせてもらう。

7:30過ぎに車を出発。合っているのかどうかわからないまま、アスファルトの道を山の方へと歩いていってみることに。
この駐車場はなに?
手前にあった駐車場 どこ用のP?
(結局もうちょっと上のところに駐車)
せっかくいいスペースがあるのにな 10分ほど歩くとひょっこり現れた駐車場。
んー車一台しか通れないような道で、今紅葉シーズンだから通行止めにしているのかな。

そうならそうで、そういう理由や、まっすぐ行けば阿瀬渓谷であることも明記しておいて欲しいものだ。本当、気が利かない。観光地ならばなお更のことだ。案内板を利用させてもらうと、今日のルートはこんな感じになるようだ。
駐車場あるやん・・・

その横から伸びる遊歩道の入り口から進んでいく。

いってきまーす ちょっと沢渡り
さぁ、いきますかー 増水時注意

そうすると直ぐに現れた源太夫滝。こんなに近かったんや(笑)。

うまく収めることができなかったけど、その周りには小さい滝もあり、思っていた以上の景観が待ち構えてくれていた。紅葉もまだしぶとく残ってくれていたし。蘇武岳は名色の登山口から登った方が距離が短くて楽。だけど、この紅葉が見たかったから阿瀬渓谷から登ることにしたわけだ。あーこっちからにしてよかった。

写真以上にまだ赤かったよ 階段を登ったところから
なかなかよし 源太夫滝

登山道はおだやかな道がずっと続いているという感じで、直ぐ脱ぎたくなるかな、と思ったジャケットも着たままで大丈夫なくらいだ。よく整備されていて、あちこちに看板があるのでわかりやすい。

その先も気になるなぁ・・・ ありがたや
途中の分岐 こんなのがあちこちに

ゆっくり歩いて1時間ちょっとで金山(きんざん)廃村に辿り着いた。

500年の歴史を閉じた金山廃村とかいてある。
「廃村」なんて実際この目で見たことなんてほとんどないけれど、パッと見た感じ、本当に人が住んでいたのか?と思わずにはいられなかった。ぬくもりだったり、人の気配だったり、そういうものが全く感じられなかったからだ。

ある意味、冷たい感じがするという意味では、長崎の軍艦島が即座に思い出される。

思ったよりも廃村らしきところが狭く感じられたのと、建物がわずかに1軒しかなかったのもそう感じた原因かもしれない。1軒残っていた建物はどうやら、分校だったらしく、数年前まではちゃんと建っていて中にあったオルガンも弾けば音を奏でたそうだ。

何だかこの廃村のことがひどく気になって、HPで調べてみたらあるサイトを見つけることができた。かつて金山に住んでいて最後に村を後にした冨山さんのお話が紹介されている。

昭和37年のクリスマスに発ったそうだから、もうすぐ45年になるわけだ。45年・・・当時どのように生計を立てていて、どのような思いでこの村を去ったのか。

誰しも生まれ育ったふるさとを離れなければならないとき、それは辛い思い、大きな決心を伴うと思う。だけど、離れるのではなく、「捨てなければならないとき」・・・一体どんな心境なんだろうか、と。もう帰る場所にはなり得ない、そういう思いで出てゆくとき。ぬくもりがどんどん消えてゆくのをもう、どうしようもできないとき。自分の手で歴史を閉じてしまうとき。

そんな村に住んでいた人の気持ちを思うと、軽々しく写真を撮っていいのか、なんても思ってしまうし・・・でも、冨山さんのお話を読んでみるとこうしてこの村の存在を覚えていること、「こんな村があったんだよ」と語り継いでいくことが、「証」になるのかな、と思ったわけなのだ。

冨山さんのお話を紹介しているHPはこちらです。

>>あかずきんさんのたんたん探訪:
http://inakagurasi01.web.infoseek.co.jp/033a-kinzan.htm


500年かぁ ぺっちゃんこだ
金山の歴史の長さ 分校らしい
かな? うーん
ストーブだろうか ミシンの一部?

辺りをよく見渡すと、たくさんの一升瓶とお猪口が転がっている。寒いこの地で一杯やりながら暖をとっていたのだろうか。残されている僅かなものに、思いを馳せてみる。

振り返って
では、いってきます

今までは平々凡々な道をやってきたのだけど、これから先は少し様変わりしてくる。またもやスパッツ(足の泥よけカバー)を忘れたのが本当に痛い。草ボーボーゾーンに、ぐちゃぐちゃぬかるんだ道、

どこ持っても滑るー マジ怖い
つるつるの岩に つるつるの丸太
(あたし的には3本が理想)

・・・濡れているって怖いのね。いや、もしかしたらほんのり凍っていた?
よくわからないけど、特に岩は持っても踏ん張っても滑るので怖かった(この岩を越えないと向こうに行けないのだ、川に落ちてしまう)。

丸太は何本か越えなくてはならなかったわけだけど、一箇所流されているではないか!

ふむむ、どうしたものか・・・直そうにも重くて無理。と言うわけでしばし考えた挙句、対岸への




轟、ジャンプ!!




を試みるが、着地に失敗し(滑った(笑))右足が膝下からドボン。
ジャンプ力は十分だったんだけどなー油断した。とほほだわ。せめてスパッツをつけていれば・・・

右足をクチュクチュ言わせながら歩いてく。あー本当やだ。よりによってこんな寒い日に。しばらく歩いていると、薄々は気づいていたのだけど、徐々に現れてくる白い物体。

まさかね、まさかね、と思っていたけれど、金山峠まであと少しというころになって現実として目の前に広がっていた雪。

あーさむ ぴかぴかなのが見える
こんなに!! 晴れてはいるようだ

まだ2〜3cmと言ったところだけど、こんな景色にご対面するとは思っていなかったのでびっくり仰天。この調子だとまさか山頂は・・・

林の中は木に積もった雪が解け始めて遠慮なしに雨のように降ってくる。フードを被り前進。金山峠まで出るとさらにどっさりと雪が。ちゃんと頂上まで行けるのかしら。と心配になってくる。

ようやく 熟知者って?!
金山峠に到着 と言うわけで迷いなく林道を選択

登山道から頂上を目指すとは3.5kmなのに対し、林道経由で行くと4.2kmあるそうだ。それでも、林道を選んだ。きっと登山道を歩くと間違いなく雪に埋もれてしまうことだろうから。

しばらく林道を歩いていると、工事のお兄さんが居た。今日初めて会った人だ!(笑)

話しかけてみると、どうやらこの雪はつい先日の寒波、今週の頭に冷え込んだそのせいらしい。阿瀬渓谷から一人で来たと言うと「雪があったやろうに」と随分驚かれた。「トラックが通ると思うから気をつけてね」と声をかけてもらい歩いていくが、途中から途端にペースが落ちてくる。

わー! ぐちゃぐちゃです
願いが叶いそうなくらい星ばかり 林道をゆく

時折凍ってはいるけれど、基本的には除雪をしてくれているので歩きやすいアスファルト道だ。出発時と変わらない感じで、1kmに100m高度を上げていくような、そんな道に変わりはない。だけど・・・林道を歩き始めて冷えてくる体。特に、川に落ちて濡れてしまった右足のつま先が痛くて痛くて仕方がない。寒くて、冷たくて痛いのだ。

代わりの靴下もなく、濡れた靴をどうすることもできない。

とにかく、展望台のところまで、そこまで歩こう、と思いながらえっちらえっちら歩いていく。その展望台から蘇武岳頂上までわずか15分。そこからは頂上へ行ったことがあるのだ。合わせ技1本でヨシとしてもいいじゃないか。

残念 真冬だ
残念ながら氷ノ山の山には雲が 冬景色

徐々に雪の量は多くなる。
そしてようやく見えた見覚えのある東屋。やったー!

ここまで来たか・・・ ほっと一息
やっと見えた展望台! やれやれ

急いでバーナーでお湯を沸かしカップラーメンの準備をしつつ、急いで右足を開放してあげた。靴も靴下もびちょびちょだ。日の当たるところに干し、果たしてどうしたらよいものかと思案。きっと山頂までは雪の中を歩くことになるだろうし・・・今でさえ冷たくなってしまった足をどうしたら守れるのだろう。

救急セットから使えそうなものを利用し、何とかかんとか保護し、カッパのパンツをはいて準備完了。あったかいカップラーメンをすすりながら誰一人いない雪の世界を独り占めだ。

おいしそう(笑) 蘇道の碑の前にて
板付きかまぼこや! 朝青龍みたいな顔してた(笑)

この前の登山道からだと15分くらいかかるけれど、実はもう一箇所頂上までいける道が林道から伸びているそうで、そこからだと頂上までわずか5分で行けるそうだ。

もう、こうなれば、いけるところまで林道で行かせてもらいます!

まだか、まだか・・・と思いながら歩いていたけれど、上りきってちょっと下り始めたころに登り口があった。

よっしゃー もうちょっとだ
見えた! 誰の足跡もない

別のルートからあった誰かの足跡は途中で消え、手前まで来たのに引き返したような跡だった。この跡はきっとわたしと同じようにズポズポと埋まりながらやってきたに違いない。ここまで来たのに・・・

頂上まであとわずかだ。
夏の装備で無防備すぎるわたしはちょっと怯みもしたけれど、フカフカのパウダースノー、仮にバランスを崩しても落ちてしまいそうなところも左右にはない。これは行くしかない!

足を取られ、ステッキも雪にとられつつ、もう、入り込んでくる雪も途中からは全然気にならなくなって、とにかくまっすぐ上だけを見据えて歩いていった。

やったぁ
蘇武岳(1074.4m)到達!

ついたぁー!!!

故・植村直己が一番初めに登ったふるさとの山。

もう今や眼下に林道が走り、僅かな距離を歩いただけで頂上に立ててしまえるというお気楽な山になってしまった。去年の7月に15分歩いただけで頂上に立ててしまった、でももう1回阿瀬渓谷から登りなおしたいとずっとずっと思っていた山。まさか山頂はこんな季節になっていようとは思いもしなかったけど(笑)。とにもかくにも、こうして再びチャレンジできて本当にうれしかった。

感無量だ さぁ、再び
歩いてきた方を見下ろす 来た道を引き返す

あー本当に気持ちがいい。

靴の中に入った雪は気持ち悪いけど・・・しばし景色を独り占めした後、下山準備を始めた。あぁ、本当に名残惜しい。

同じ道を引き返すけれど、気温も上がってきたせいか、右足の指先の痛みもなくなってきた。またきた道を引き返すと言うことは同じポイントをジャンプしないといけないわけだ。あぁ、憂鬱(笑)。

ところが、工事のお兄さんが「さっき6人くらいの団体さんが居たよ」と教えてくれたように、登山道にわたしのではない足跡が幾つもある。手前で引き返したのかな・・・?ちょっと心細かったわたしには朗報。せっせと歩いていくと

やった! 紅葉にほっ。
流されていた丸太が架かってるー!! あーなんか安心

これでも十分怖いんだけど(笑)・・・滑るし、川の水がそこまで来てるし!それでもこうやって掛けなおしてくれた方々に感謝。濡れずに渡ることができた。

途中でその団体さんに会ったわけだけど、「え、一人で」「すごいね」「山頂はどうだった」「雪の中歩いたの?」「林道から?登山道から?」・・・とまぁ、矢継ぎ早の質問にタジタジしてしまい、結局お礼を言うのを忘れていたわたし。今更ですが本当にありがとうございました。助かりました(・∀・)。

結局15時半頃に無事車に戻ることができた。
阿瀬渓谷の紅葉を楽しみに来た観光客で溢れていて、ドロドロのわたしはちょっと浮き気み。それでもいろんな方に話しかけられて、笑わせてもらったなぁ(笑)。

道の駅・神鍋高原に行きスタンプをゲット。ここの温泉に入ろうかとも思ったのだけど、眠たくなると思って明るいうちに移動開始。今日の目的地は京都の丹後半島にある道の駅・てんきてんき丹後だ。

途中、久美浜を過ぎたR178沿いにある温泉・花ゆうみを発見。

こんな綺麗な温泉あったっけ?値段は600円。連休なのでまた芋洗いだったらイヤだなぁと思いつつ入ると、ちゃんと80人の定員制になっていて、人数調整があったので安心して入ることが出来た。体を洗うところは12箇所しかなくてちょっと待ったけど・・・露天風呂はわたし好みのぬるめの温度でかなり長いこと入ってしまった。体はほっかほか。

道の駅に到着し、ブログを書いて暖かくして早々に就寝。ひさしぶりの道駅泊。寝付けるかしら?と思いつつもさすがに疲れていたのかあっという間に眠りに落ちたのだった。

明日は、丹後半島の依遅ガ遅山だ。

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